善良なるキッチンドランカー

一人暮らしをしているとき、今日はどの酒を飲もうかな、というのを密かな楽しみにしていた。
数年前に大ブレイクしたマッコリ、芋焼酎、リキュールなどを常備しておいた。

夜ご飯はダイエットの関係であまりたくさん食べないので、少量のおつまみを用意するが、ダシを取ったあとの昆布とかつおを佃煮にしたものやぎんなん、椎茸を焼いたものなど、なかなか渋いラインナップ。
わたし、晩酌を楽しんでるわ?と悦に入っていた。
冬はこたつで飲み、寒い窓際にマッコリなどを置いておき、席を立たなくて良いようにしていた。
そしてそのまま眠たくなったらこたつで眠る。
朝になって、こたつの上にあるグラス類を見てげんなりするが、酒を飲みたいだけ飲んで眠りに落ちる堕落したかんじが心地よかった。
彼と一緒に住みだしてからは、そんなことがなくった。
生活で一番変わったことは酒を飲まなくなったことかもしれない。
彼がビールを飲むが、私は料理を彼のペースに合わせて出したりするので、ゆったりしていない。
しかし、最近は彼のペースではなく、最初から定食スタイルで全部出しておくので、お酒を飲む時間がある。
私はビールではなく、焼酎やリキュールをソーダ割りしたものをちょびちょび飲むのだ。
3年近く付き合っていると、最初の頃のようにたくさん話題があるわけではないので、食卓は静かで、テレビの音が響いている。
今日はきんぴらなどの作り置きを昼間作っていたが、飲みながら作るキッチンドランカースタイルが最高だ。
一人暮らしの頃の気ままなかんじを思い出しながら、好きに飲み、つまみながら過ごした。
眠たくなったので昼寝もして、今さっき起きた。
一人のときにしかできないことっていっぱいあったんだな?と思いながら、こたつではないが眠りに落ちる瞬間を久々に味わい、心地よかった。

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